帯電



絶縁性高分子の帯電現象の2次元可視化

 我々の生活に欠かすことのできない,電気の歴史は古く,古代ギリシャの七賢人の一人タレスが,琥珀を擦ることで羽毛を引き付ける力が発生することを見出したのが人類史で静電気に触れた最初であると言われています。ここから,電磁気学がスタートし,我々はその恩恵を享受していますが,実際,物質の帯電現象については全てが解き明かされているわけではありません。擦りあわされた界面で電荷の移動が生じるのは何故なのか?移動しているのは電荷だけなのか?表面に留まっている電荷は,正電荷と負電荷がモザイク状態で存在していることが近年になってようやくわかってきましたが,どの程度の深さまで存在しているのか等,帯電については多くのことが未だ明らかになっていません。
 和周波発生は,表面・界面の分子の振る舞いを調べることに長けた手法ですが,同時に電荷が作り出す電場によって,その信号強度が大きく変化します(電界誘起効果)。この特徴を活かして,絶縁性高分子の帯電について,表面の微小領域の帯電の可視化に挑み,目では見ることのできない2次元面内での帯電領域の可視化を行うことに成功しました。
 
    Y. Isaka and T. Miyamae,Appl. Phys. Express,16, 015510 (2022).