〜「界面」から機能を探索する〜
「表面とバルクは違う」ということが最近の研究では当たり前のこととして言われています。では表面や界面とバルクでは何がどのように異なっているのでしょう。
表面や界面を定義するとき、そこには必ず「向き」が存在します。水の表面で言えば上が空気で下がバルクの水になり、その2つの媒体に挟まれた境界面が「表面」であり「界面」なのです。そして、界面における分子の「向き」は、親水・撥水、接着性、生体適合性、摩擦、帯電、抗菌性など、およそ界面で分子が繰り広げる様々な物性や機能に大きな影響を及ぼしています。
和周波分光は、対象となる試料に波長の異なる2つの短パルスのレーザー光を照射したときに、異なる媒体が接する境界面だけから発生する特異的な光を利用した、「表面・界面に存在する分子の挙動を選択的に観ることのできる」手法です。
この研究室では、和周波分光をはじめとする各種の計測手法を駆使して、親水性や撥水性、摩擦、生体適合性、接着、剥離、分子吸着、液体界面、さらには有機デバイス内部の電荷輸送現象の解明など、表面や界面で起こる様々なミクロ・マクロな現象と分子との関わりを分光学的手法で明らかにすることを目指しています。
Top last update; 2025/06/09
・第63回日本接着学会年次大会(仙台国際センター, 2025/06/31~07/01)
P21A |
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シランカップリング表面処理を施したAl表面特性と界面接着強度 |
〇小堀 薫平,宮前 孝行,尾形 修司,山本 慎太郎 |
B-1 |
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シラン表面処理Alとエポキシ樹脂との水分に依存した酸-塩基相互作用に関
するシミュレーション |
〇尾形 修司,小堀 薫平,宮前 孝行,山本 慎太郎 |
B-13 |
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生体模倣高分子の異種材料に対する接着強度と界面状態 |
〇吉田 知史,宮前 孝行,内藤 昌信 |
・有機EL討論会第40回例会(東京国際交流館 , 2025/06/26~27)
S5-2 |
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電子和周波発生分光による OLED の電界挙動解析 |
鏑城 竜也,森本 和紀,〇宮前 孝行 |
・第4回東葉筑玉合同セミナー (千葉大学, 2025/6/5)を開催しました。->Meetings ->Photos
→Program.pdf
・ACS Omega.に論文が掲載されました。ポリウレタンの接着に際して、界面に存在する微量の油分の振る舞いと接着強度との関係を評価・解析した論文です。この論文で、ポリウレタンを塗布する際に、基板表面に付着したシリコーンオイルを内部に取り込み、加熱硬化する際に界面に再偏析する挙動とその要因を明らかにしました。(2025/04/28)
" Correlation Between the Molecular-Level Behavior of Polyurethane on Oily Surfaces and Adhesive Strength" S. Yamazaki, T. Aizawa, and T. Miyamae, ACS Omega.10, 17468-17475(2025), DOI:10.1021/acsomega.4c11036
・新しく4年生が3名加わりました (2025/4/1) ⇒Members
・Press release! 有機ELを光らせながら内部の電位分布を調べる手法を開発〜有機ELディスプレイの長寿命化・高効率化へ貢献〜 (2025/03/21)
プレスリリース、CHIBADAI NEXT、PR TIMES
・J. Mater. Chem. C.に論文が掲載されました。新たに開発したESFG分光システムを使って、積層OLED駆動中の内部電界の様子を評価・解析した論文です。この論文で、ホールブロック層の挿入により内部電界の様子が変化し、素子の発光特性が向上する要因を明らかにしました。(2025/03/10) ->ESFGによるOLEDのオペランド計測
"Probing charge behaviour in multilayer organic light-emitting diodes via electronic sum-frequencygeneration spectroscopy" T. Kaburagi, K. Morimoto, T. Miyamae, J. Mater. Chem. C.13, 8068-8075 (2025), DOI:10.1039/D4TC04970E
・第72回応用物理学会春季学術講演会(東京理科大学, 2025/03/14-17) で5名の学生が発表を行いました。
・Jpn. J. Appl. Phys.に共著論文が掲載されました.産総研九州センターの佐藤友哉さんとの共同研究の成果です。MIS-CERIVという手法を用いて,有機ELデバイス内部の電荷移動度の解析を行った研究です.(2025/01/14)
"Direct evaluation of effective hole mobility in multilayer organic light-emitting diodes using MIS-CELIV technique" T. Sato, C. Katagiri, T. Miyamae, Jpn. J. Appl. Phys.,64, 014003 (2025). DOI:10.35848/1347-4065/ada74c
・J. Chem. Phys.に論文が掲載されました。University of Texas at AustinのS. T. Roberts groupとの国際共同研究の成果です。この論文では,両極性を示すインジゴ界面について,ESFGとVSFGの両者を駆使して,そのトランジスタ特性と界面の状態を明らかにしたものです.(2025/01/07) -->有機トランジスタ
"Molecular orientation of dielectric layers at indigo/dielectric interfaces impacts the ordering of indigo films inorganic field-effect transistors", K. Tanoue, H. Ishii, C. L. Marsters, S. T. Roberts, T. Miyamae
J. Chem. Phys.162, 014704 (2025). DOI:10.1063/5.0242748
・The 31stInternational Display Workshops(IDW24) (Sapporo, 2024/12/4-6)でM2の甲斐清香,鏑城竜也が発表しました->Meetings->Photos
・新しい可視紫外分光器(JASCO-V730)が納入されました (2024/11/28).->Instruments
・University of Texas at Austin から,Dr. Sean. T. Robertsが来日し,講演,共同研究を行いました(2024/11/20-11/30) ->Photos.
・ Congratulation!
第18回分子科学討論会でM1の仲野綾君が優秀ポスター賞を受賞しました.→第18回分子科学討論会2024優秀ポスター賞 2024/10/25
・ACS Applied Electronic Materialsに論文が掲載されました。森本和紀さん(D3)の研究成果です。この論文では,微細加工OLEDで問題となるクロスストークの要因となる横方向リークについてVSFG分光を用いて,非発光状態の横方向リークの存在を可視化した研究です (2024/10/11) -->有機ELオペランド計測
"Experimental and Theoretical Approaches for Detecting LatentLateral Leakage Current of Organic Light-Emitting Diodes", K. Morimoto, R. Sato, S. Noh, and T.Miyamae,ACS Appl. Electron. Mater.,6(2024)7145-7153.DOI:10.1021/acsaelm.4c00997
・第18回分子科学討論会 (京都大学, 2024/9/18-21)にて、発表を行いました->Meetings
・第75回コロイド界面化学討論会 (東北大学, 2024/9/17-20)でM2の小渕諒介が発表しました->Meetings
・EURODISPLAY 2024 (Grenoble, France, 2024/9/18-20)でD3の森本和紀が発表しました->Meetings
・第73回高分子討論会 (新潟大学, 2024/9/25-27)でM2の山ア聖人、池田美咲が発表しました->Meetings
・KJF-ICOMEP2024(Busan, Korea, 2024/8/29-31)でM1の仲野綾が発表しました。学会後に、Sogang大学のProf. Doseok Kimの研究室を訪問し、研究について議論させていただきました->Meetings ->photos
・IMID 2024(Jeju, Korea, 2024/8/20-23)でM2の鏑城竜也が発表しました。->Meetings
・The 11thInternational Conference on Molecular Electronics & Bioelectronics (M&BE11) (Matsue, Shimane, 2024/6/19-21)でM1の仲野綾、宮前が発表しました ->Meetings->photos
・第62回日本接着学会年次大会 (富山国際会議場, 2024/6/27-28)でM2の山ア聖人が発表しました
・第3回東葉筑玉合同セミナー (筑波大学, 2024/6/25)で6名の学生が発表を行いました。->Meetings
・Invited talk物理化学的手法を用いた食品コロイドの構造観察 "分子美食学〜スウィーツから介護食まで〜" (酪農学園大学, 2024/7/24)で宮前が発表しました
宮前孝行、和周波で食品の表面を科学する ->Invited Talks
・Invited talkThinFilm2024 (Singapole, 2024/7/15-19)で宮前が講演しました
Molecular Orientation at Organic semiconductor/Dielectric Interfaces and their OFET Device Characteristics
Takayuki Miyamae ->Invited Talks
・高分子(高分子学会機関誌)2024年6月号に,解説記事を寄稿しました.
“和周波発生分光による界面分析”, 宮前孝行,高分子, 2024年6号, Vol/73, No.6, 269-270.
・新しく4年生が4名加わりました (2024/4/1) ⇒Members