名前の通り、電子を光源に用い、試料を通り抜けた電子(透過電子)の像を得る顕微鏡。
透過電子顕微鏡(TEM)では、加速された電子を平面波として対物レンズを通じて試料に照射する。このとき、ほとんどの電子は透過するが、ある確率で、試料中の原子との相互作用により弾性散乱される。このとき散乱電子波は相互作用の大きさにより位相が変化ており、これと透過電子との干渉波を、いくつかの中間レンズを介して結像することにより、原子の配列が拡大像として得られる。これが、透過電子顕微鏡像である。この一連の過程では、電子は粒子としても、波としても扱われており、電子の性質を巧みに利用している。
本研究室で所有するTEM装置は、JEM-2500SEという蛍光板のないタイプで、一台でTEM, SEM, STEMになる。電子線加速電圧が90kVに調整されており、比較的安定にナノカーボン材料などの軽元素試料を観察できる。このTEM中でナノマニピュレータを用いてプローブ(探針)を操作し、物質をナノスケールで操作・変形・加熱などしながらリアルタイムで観察・特性計測を行っている。

これまでの研究
など